1型糖尿病 50代男性 障害厚生年金3級
概要
平成29年夏ごろより、体重減少や喉の渇きを感じるようになり、倦怠感もひどく日に日に悪化していった。
平成30年春、家族の定期検診の付き添いで病院を訪れた際、不調が続くことからついでに検査を実施。
その結果、糖尿病性ケトーシス、甲状腺中毒症が認められ同日緊急入院(集中治療室入院)となった。
入院精査の結果、緩徐進行1型糖尿病、バセドウ病と診断された。
退院後は定期的に受診し、血液検査を実施。
インスリン治療を継続している。朝方に低血糖症状が起きやすく、しびれやボーっとする感覚があり回復までに30分ほど時間がかかってしまう。
逆に食べ過ぎると高血糖になってしまう為、血糖コントロールの難しさを常日頃から感じている。
職場では病気への理解があり、低血糖時には仕事中に補食やブドウ糖を飲んだり、高血糖時にはインスリンの追加打ちをさせてもらうなど配慮を受けている。
令和4年9月に障害厚生年金の請求を行う。
結果、障害厚生年金3級(事後重症請求)が認められた。担当者コメント
ご依頼者さまは、当方にご相談される前に、
「1型糖尿病で障害年金の請求を行う場合、意識を失うほどひどい状態でないと年金の支給は受けられない。」
との説明を受けたようです。障害年金の認定基準上、糖尿病単体で請求を行う場合、
①内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が 0.3ng/mL 未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
②意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月 1 回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
③インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年 1 回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
上記いずれかの状態を満たすものを3級と認定すると規定されています。
確かに②意識障害により自己回復ができない重症低血糖が月平均1回以上と謳われていますが、注意しなければいけないのは、上記に掲げた3項目は全て満たす必要はないという事です。
認定基準上、3項目の内、【いずれか】の状態に該当する事を条件としています。
【いずれか】という事は、いずれか1つの状態にでも該当していれば、支給対象になり得る事を意味します。
【いずれも】と規定されているわけではありません。
どうやら、ご依頼者さまに説明をした人物は、3項目全てを満たしていないと支給対象にならないと思ってしまったようです。
誤った解釈・認識を持ったままでいると、請求する機会を失う事に繋がりかねません。
何か少しでも気になる点・不安な点があれば、まずは専門家に確認するのが得策と考えます。