1型糖尿病 40代男性 障害厚生年金3級
概要
平成19年初夏、トイレが近くなり、異常な程汗をかくようになった。
しばらく様子を見ていたが改善しなかったため、近医を受診。
尿ケトン体の確認のためそのまま入院したところ、入院中に1型糖尿病と診断。
インスリン治療が開始された。
以降現在に至るまで定期的な通院を続けている。
低血糖は毎週少なくとも1~2回必ず起こる。
低血糖の頻発が続いているためか、かなり低い数値にならないと自覚症状が現れなくなってしまった。
手のふるえや発汗を自覚したときには30台とかなり低い数値になっており、ひどい倦怠感に襲われその後の業務に支障が出て困っている。
低血糖を回避しようと注射を少なく打つと、Hba1cが上がってしまい調整が大変難しい。
仕事柄、お客様との外食の機会もあるが、高血糖になりやすく、のどの渇き・トイレの回数が増える。
車を運転する機会が多いため、運転中の低血糖が大変怖く、わざと高血糖にして業務にあたることも少なくない。
令和5年12月に障害厚生年金の請求を行う。
結果、障害厚生年金3級(遡及請求)が認められた。担当者コメント
本件、遡及請求で認められておりますが、障害認定日時点において血清Cペプチドの検査を受けておりません。
初診日に行った尿中Cペプチドの検査結果を用いて障害認定日請求を行っています。
障害認定基準上、糖尿病で請求を行う場合の3級の状態は下記の通り規定されています。
一般状態区分が【イ】以上でかつ下記いずれかの状態に該当するもの。
①血清Cペプチド値0.3ng/mL未満
②意識障害により自己回復ができない重症低血糖が月平均1回以上
③糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年 1 回以上上記の通り、Cペプチドの値については【血清】の値のみ規定されており、【尿中】の値については規定されておりません。
請求人の場合、障害認定日時点において上記②・③の状態いずれにも該当しない事を確認。
その上、血清Cペプチドの検査も行っていませんので、通常であれば遡及請求を諦め、事後重症請求に切り替える事になりますが・・
病院のカルテに残っていた初診日時点の尿中Cペプチドの検査結果。
こちらをもとに障害年金の遡及請求が出来ないだろうか・・
ふと閃いた請求方法です。
勿論過去の事例の中に尿中Cペプチドで障害年金の請求を行った方は1人もおりません。
請求結果が全く予期できませんでしたが、せっかく残っていた初診日時点の尿中Cペプチドの検査結果をどうにかして活かしたい・・
そんな思いから、絞り出した請求方法になります。
尿中Cペプチドの検査数値が、血清Cペプチドの検査数値と同等の状態である事を証明出来れば受給権を得られる可能性はあると考えました。
そこで今回血清Cペプチドと尿中Cペプチドの関係性を徹底的に調べあげました。
2つの検査数値と1型糖尿病の診断基準について詳細に明記されている資料を見つけ出し、そちらに記載された内容を根拠として請求を行ったところ・・
障害認定日時点で障害厚生年金3級の受給権が認められました!
障害認定基準に規定されていない内容で請求を行った初めてのケースです。
不安要素が多々ある請求でしたが、無事認定されて安堵しました。