劇症1型糖尿病 50代男性 障害厚生年金3級
概要
令和3年夏、既存傷病の悪性胸膜中皮腫が再発。
(悪性胸膜中皮腫は平成16年に罹患。経過観察中であった。)治療のため、免疫チェックポイント阻害剤を2回投与したところ血液検査の膵臓数値が悪化。
免疫チェックポイント阻害剤を中止し自宅療養していたが、多尿、口喝、多飲等の症状が出現。
意識障害も出現した為救急要請し病院へ運ばれた。
血糖値が900近くあることが判明し緊急入院。
劇症1型糖尿病との診断で治療が開始された。
以降、現在に至るまで治療継続中。
職場では業務内容の配慮により、1人でも作業可能である業務にしてもらっている。
仕事中、低血糖になると回復に時間が掛かる。
倦怠感がひどい時は腰かけて回復を待つ。
ブドウ糖配合のラムネを常備している。
低血糖の自覚症状は70以下。
高血糖は1日に1回必ず起こる。
200台が頻発。
追加でインスリンを投与し血糖値を下げる事が常態化している。
令和6年4月に障害厚生年金の請求を行う。
結果、障害厚生年金3級(事後重症請求)が認められた。担当者コメント
障害年金には、相当因果関係という概念があります。
これは、前の疾病や負傷がなければ後の疾病は起こらなかったであろうと認められる関係性を指し、相当因果関係があると判断された場合、前後の傷病は同一傷病として扱われる事になります。
本事例の場合、請求傷病名は劇症1型糖尿病ですが、既存傷病である悪性胸膜中皮腫と相当因果関係があると認められました。
悪性胸膜中皮腫の治療で用いられた【免疫チェックポイント阻害剤】によって劇症1型糖尿病が引き起こされたと審査側が判断した事によるものです。
これにより、悪性胸膜中皮腫と劇症1型糖尿病は同一傷病として取り扱われます。
障害年金請求上の初診日は悪性胸膜中皮腫に罹患した平成16年になり、事後重症請求として障害厚生年金3級が認定されました。
障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるとき、初診日の取り扱いには注意が必要です。