劇症1型糖尿病 50代女性 障害厚生年金3級
概要
平成22年頃、腎細胞がんに罹患。
右腎部分切除手術を受け、経過観察のため定期的に通院していた。
抗がん剤治療が行われ様々な薬を投与される。
平成28年からはニボルマブ(オプジーボ)の使用を開始するようになった。
令和3年、突然3~4日間で食欲減退、激しい嘔吐、異常な口の渇きがあり、救急車で搬送。
糖尿病性ケトアシドーシスの発症、劇症型1型糖尿病と診断され2週間の入院となった。
入院下、インスリン療法導入。
ニボルマブは入院~1か月半は休薬。
退院後、現在に至るまで定期的な通院を継続している。
低血糖が、日中では、 2-4 回/日、夜間は 3 日に 1 度の割合で起きている。
夜間の低血糖を防ぐため、ほぼ毎日就寝前に糖分を無理やり摂取している。
糖分が足りないと夜中に低血糖が起き、逆 に多すぎる場合に高血糖の状態になり、血糖コントロールが上手くいかない。
血糖の変動が激しいため、常に血糖値のことを注意していなければならない生活がとても辛く、今後への不安が消えずにいる。
令和6年5月に障害厚生年金の請求を行う。
結果、障害厚生年金3級(事後重症請求)が認められた。担当者コメント
腎細胞がんの治療のため使用した免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)が劇症1型糖尿病の原因として認定された事例です。
障害年金には相当因果関係と呼ばれる概念が初診日認定において影響してきます。
相当因果関係とは、前の病気がなければ今こういう状態になりえない、
というほど医学的な結びつきが強いもの同士を指す言葉です。複数傷病があり、Aという傷病とBという傷病の間には相当性を有した因果関係を要すると判断できる場合、AとBは同一傷病として取り扱われます。
同一傷病として認められると、前の病気であるAの初診日が障害年金請求上の初診日に該当します。
本請求の場合は、Aが腎細胞がん、Bが劇症1型糖尿病。
したがって腎細胞がんの初診日が障害年金請求上の初診日になります。
腎細胞がんと診断された平成22年を初診とする事後重症請求により障害厚生年金3級の受給権が認められました。
複数傷病に罹患している場合、相当因果関係の有無によって初診日が変わってきます。
医師の見解や過去の事例などを参考に、請求手続きを進められる事をお勧め致します。