両側性感音難聴 50代女性 障害厚生年金3級
概要
平成27年7月頃、音が響いて聞こえるようになった。
その後耳鳴り、耳閉感といった症状を自覚。
しばらく様子を見ていたが一向に良くならなかったため一度耳鼻科で診てもらうことにした。
平成27年8月、耳鼻咽喉科を受診。
両側性感音難聴(低音障害型)と診断され、治療が行われることとなった。
点滴による治療を数ヶ月続けた結果、症状が改善されたため通院をやめた。
平成29年10月頃、左耳の耳鳴りを自覚。
再度耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を行ったところ左急性感音性難聴と診断された。
その後現在に至るまで継続して治療を受けているが聴力低下が緩徐に増悪。
内服・補聴器を装用しているが左耳の聴力に改善は見られない。
(左耳:90デシベル以上)眼振があり発作性のめまいが頻繁に起こる。
右耳の聴力も低下が進み、医師から右耳の治療も必要と言われたことから新しく処方された薬を服用し治療を受けている。
めまい・両耳聴力低下により家族や職場の同僚とコミュニケーションがうまく取れないことがあるため、日常生活に支障が生じている。
障害厚生年金の請求を行い、障害手当金が決定。
障害厚生年金3級を求め審査請求を行ったところ、処分変更により、障害厚生年金3級の受給権が発生した。
担当者コメント
障害手当金とは、病気やケガによる障害が3級よりも軽い場合に一時金としてもらえる制度を指します。
障害手当金の受給要件の1つ「初診日から5年以内に傷病が治っていること(症状固定)」。
障害手当金は、症状が固定していなければ支給を受けることが出来ません。
では障害手当金相当の障害が残ったものの症状固定していない場合はどうなるのかというと、障害認定基準に下記の規程があります。
「傷病が治らないもの」については、障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。
これは、障害の程度が障害手当金相当の状態であっても症状固定していない場合は3級該当となり、症状固定と認定された場合は障害手当金の対象になり得ると解釈出来ます。
本件の場合、請求時点の左耳の聴力レベル:90デシベル以上。
障害の程度でいうと【一耳の平均純音聴力レベル値が 80 デシベル以上のもの】に該当しますが、これは障害手当金相当の障害状態です。
裁定請求の結果、保険者が下した決定は「障害手当金」。
前述した通り、障害手当金は症状固定が受給要件になります。
しかしながら提出した診断書からは症状固定と判断出来る記載が見受けられません。
そこで障害厚生年金3級を求め審査請求を行いました。
主な主張内容は下記の通りです。
■【左耳】の聴力レベルのみをもって認定した可能性があるが、【右耳】の聴力レベルも落ちている。
→右耳の聴力レベルも認定の対象とすべき。■傷病が治ったかどうかについて、治っていない(症状のよくなる見込:無)にマルがつけられている。
→保険者が認定した症状固定日の根拠が不明上記をもって症状固定していない事を主張し審査請求を行ったところ、処分変更により障害厚生年金3級の受給権が発生しました。
初回請求から約1年近く経過してしまいましたが、最終的に障害厚生年金3級が認められて良かったです。
ご依頼者さまにも喜んでいただけて、安堵しました。